偽情報調査:イワシ大量漂着デマを信じる人が半数に迫る

総務省は、インターネット上に流布される偽・誤情報の実態を把握するため、全国規模の調査を初めて実施した。2025年3月31日から4月2日にかけて、全国の15歳以上男女2,820人を対象にアンケートを行い、同省が民間のファクトチェック機関「日本ファクトチェックセンター」によって偽・誤情報と判定された事例15項目について、1件以上見聞きしたことがある844人の回答を集計した。 調査結果によると、見聞きした偽・誤情報のうち「正しいと思う」または「おそらく正しいと思う」と回答した割合は加重平均で47.7%に達した。その中には、「WHO事務局長が2024年に『新型コロナに効くワクチンはない』と発言した」という誤情報や、「イワシやクジラの大量漂着は地震の前兆や影響である」といったデマが含まれていた。 さらに、偽・誤情報に接触した人のうち25.5%が実際にその情報を周囲に拡散していることが判明した。拡散し…

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子どものSNS利用規制を巡るフロリダ州の試みと課題

春から中学生になる息子をもつ私(48)は、「スマホは子どもには早すぎる」と感じつつも、友達と比べて持たないことで孤立しないか悩んでいた。そんな折、「未成年者のSNS利用を国レベルで禁止する」というニュースを目にし、フロリダ州に赴いて現地の動きを取材した。 フロリダ州のSNS禁止法概要 2024年3月、フロリダ州は14歳未満のSNS利用を禁止する法律を可決・署名した。対象は画像や動画をアルゴリズムで配信する機能を備えたサービスであり、インスタグラムやTikTokなどが想定される。14歳以上15歳以下は保護者の同意が必要とし、違反企業には罰金が科される。ただし訴訟により施行時期は未定だ。 保護者の賛同の声 取材で多くの親が「子どもをSNSの有害な影響から守りたい」と賛成意見を示した。 13歳女子の母親:「一度使い始めると取り上げにくい。禁止で外遊びが増えるだろう」 14歳女子の母親:「適切に使…

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簿記

簿記とは、企業などの経済主体が行う経済取引によって生じる資産・負債・純資産の増減や、一定期間内の収益・費用を記録・管理する手法である。平易に言えば、「お金やものの出入りを記録する方法」である。記帳方式には単式簿記と複式簿記があるが、産業革命以降の企業規模の拡大に伴い、今日では主に複式簿記が「簿記」として用いられている。 歴史的には、貨幣経済の発展とともに古代ローマやギリシャなどで単式簿記が用いられていた。その後、14世紀から15世紀のルネサンス期にイタリア商人が複式簿記を発明し、ルカ・パチョーリが1494年に刊行した『スムマ』により複式簿記が広く紹介されたことが、ヨーロッパ全域への普及を促した。 日本では、1873年(明治6年)に福沢諭吉が訳著『帳合の法』を刊行したことを契機に洋式簿記が導入された。以後、商業簿記講習所での教育や官公庁による簿記書の出版を通じて、複式簿記による記帳法が定着し…

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1人1台時代を切り拓くAIロボット開発最前線

帰宅すると家事をすべてこなす人型ロボットが出迎えてくれる──そんな未来を予感させる技術革新が今、ロボット開発の現場で進んでいる。鍵を握るのは、人間の動きをAIに学習させる手法である。本稿では、その最前線を取材した内容を紹介する。 動画が衝撃を与えた洗濯物折りたたみロボット 2024年10月、ある米国ベンチャー企業が公開した動画が業界を驚かせた。二本の腕を持つ人型ロボットが、乾燥機から取り出した衣類を種類ごとに見分け、手際よくたたむ様子は、まさに人間さながらである。さらに、ボウルに盛られた卵をつぶさずに割り取り、パックに収納するデリケートな動作も披露された。従来のプログラミングでは困難とされた、柔軟かつ繊細な動きの実現であった。 プログラミングからAIへ──発想の転換 従来の産業用ロボットは人間が細部までプログラムした通りに動く仕組みだった。しかし、生成AIの核技術「ディープラーニング」によ…

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膨張する“円高マグマ”――次なる為替ショックを読む

大型連休中に外国為替市場で異例の急変動が発生した。発端は台湾ドル相場の急騰であり、5月2日から週明け(5月5日)にかけて約8%もの変動幅を記録した。この動きは、仮に円が同率でドルに対して上昇すれば、1ドル=145円(5月9日現在)が134円前後まで円高が進行する計算となる。 台湾ドル急騰の背景には、トランプ政権による「ドル安志向」観測と、米中関係の関税交渉が影響したとの憶測がある。台湾の頼清徳総統も中央銀行総裁も「為替交渉は行っていない」と強調し、両トップが異例の火消しに回った。 振り返ると日本でも同様の構図が見られる。トランプ政権が為替を問題視し、円高容認を求めるのではないかとの観測から、先月の外国為替市場では円買いが急加速した。さらに、物価上昇や賃上げ期待を背景に日銀の早期利上げ観測も重なり、円買いポジションは4月29日時点で17万枚余に達した(CFTC「IMM通貨先物ポジション」)。…

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社員の適応障害とは何か ── うつ病との相違点と組織の対応策だ

社員が適応障害を発症すると、職場での働きぶりや復職プロセスに大きな影響を及ぼす。適応障害は、職場環境の変化や人間関係のトラブルなど明確なストレス要因が引き金となり、出来事から3か月以内に抑うつ状態や欠勤の増加などの症状が現れる診断名である。日常業務への支障は一時的であるものの、気分が落ち込みエネルギーが乏しくなるため、うつ病と間違われやすいという特徴を有する。 適応障害の診断基準によれば、ストレス要因が解消されれば6か月以内に症状が改善するケースが多い。一方で、うつ病は複数の要因が重なって発症し、強い抑うつ状態が長期に続くため、原因の特定が困難であることが多い。したがって、適応障害ではストレス因の除去と職場環境の調整によって早期回復が見込めるが、うつ病では長期的な治療計画と包括的なケアが必要となる点で異なる。 組織が留意すべきは、たとえ「うつ病」の診断名が付されていても、適応障害の可能性を…

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生成AI開発・社会実装促進に約8億円の懸賞金制度を創設

経済産業省は5月9日、国産生成AIモデルの開発と社会実装の迅速化を図るため、約8億円規模の懸賞金事業を創設したと発表した。最優秀提案には5,000万~1億円の懸賞金を交付し、2026年5月に支給を予定している。 本事業の対象領域は以下の3つである。 国産生成AIの基盤モデルを活用したAIエージェント 官公庁の審査業務効率化 生成AIのリスク探索・低減 懸賞金方式は成果物完成後に賞金を支給する仕組みであるため、従来の研究支援に比べ社会実装への移行が格段に速い。政府はNEDOによる「懸賞金活用型プログラム」の一環として本制度を位置づけている。 また、政府支援対象の「GENIAC」採択企業が開発した国産モデル(例:プリファードネットワークスの「PLaMo」)の活用を想定している。海外製モデル(ChatGPTなど)を使用する場合は、国産モデルを採用しなかった理由を提案書で明示する必要がある。 経産…

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