教育委員会/学校運営協議会/教育課程/教科書使用義務/懲戒と体罰

1. 文部科学省と教育委員会の組織と役割  教育行政は、国レベルの組織と地方レベルの組織によって行われている。国レベルの組織は、内閣および総理大臣、文部科学省および文科大臣と関係省庁である。国レベルの教育行政の主要部を担っているのは文部科学省であり、全国的な視点から教育行政を立案し、教育に関する基準を設定する役割が付与されている。教育を取り巻く問題の多様化・複雑化により、文部科学省による教育行政の運用のみでは問題解決・改善が困難な場合、各省庁との連携した取組がみられるようになっている。  地方教育行政の責任機関として制度化されたのが、教育委員会である。なお、教育委員会制度の意義は次の3点が指摘される。①政治的中立性の確保、②継続性・安定性の確保、③地域住民の以降の反映である。そして、教育委員会の基本理念は地方教育行政の組織及び運営に関する法律に規定されており、教育委員会はこの法律に基づいて…

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教職員、学校経営、教育行財政、生涯教育と法制度について

6. 教職員に関する法と制度  「教員」は教育基本法第9条に規定される。そして、教育職員免許法や教育公務員特例法により詳細な規定がある。  学校教育法第37条第1項には「校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員」など教員の必置義務が規定されている。  学校に置かれる職員の中で、最も数が多い教諭は、「児童の教育をくかさどる」ことを本務とする。教諭は授業を行うだけでなく、学級経営、生徒指導、課外活動の指導など多様な業務を行い、主任や主事を務め公務分掌上で重要な役割をはたす。  学校教育法37条に規定される「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」は2008(平成20)年から設置された。これは、管理職に加え、各学年や教科ごとにリーダーとして主任や主事を設けることにより、教育の目的や方針を効果的に達成しようとするものである。  教員養成については戦後、教育職員免許法を根拠に開放制の方針が採られた。特別な制限…

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各教育機関の法と制度について

1. 小学校教育の法と制度  1872(明治5)年、学制発布以降、小学校は全ての国民が就学する初等教育機関として位置づけられた。しかし、翌年1873(明治6)年の就学率は男子39.9%女子15.1%であった。その5年後1878(明治11)年でも男子57.6%女子23.5%にとどまった。1886(明治19)年には第1次小学校令が制定され、父母・後見人は児童を尋常小学校(6~9歳)4年間就学させるように義務付けた。1900(明治33)年に、第3次小学校令が交付され、尋常小学校の授業料を徴収しないことが定められた。1907(明治40)年に、尋常小学校の修業年限が2年延長され6年となり、就学率は男女平均97%を超えた。  戦後、教育に関する事項は全て法律により制定されるようになった。戦前は教育に関する事項が、天皇の大権事項とされ勅令主義が取らており大きな変化であった。そして、日本国憲法制定の翌年1…

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新型コロナ感染症と学校間教育格差、教育支援の必要性

新型コロナ感染症と学校間教育格差  2020年2月27日に、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、全国の小中高校及び特別支援学校の臨時休校措置が政府から要請がなされ、休校となった。そして、今年度は各教育機関と各家庭がそれぞれに教育を提供するために知恵を振り絞り対応することになった。このことは、教育格差を目立たせることになった。  ある都立高校は4-5月にわたって休校になった。この学校に通う高校3年生で受験を控えた男子生徒は、授業がない事への不安を語った。学校からは英語や国語、数学、理科など各教科の課題が出され、提出期限はあるものの、授業は一切なかった。男子生徒は学習の成果が上がっていないのではないかと疑問を投げかけた。  公立高校の校長は、オンラインによる授業も検討したが、現状は厳しいと語った。理由は、パソコンやスマートフォンが普及して通信環境が整備されたといえど、すべての生徒が持っ…

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現代における教育の変化と教育学を学ぶ意義

現代における教育の変化  20世紀後半の日本の教育は児童生徒を中心に展開されてきた。そして、高校進学率はほぼ100%、高校卒業後の進学率(短期大学、4年制大学、専門学校)も含め約80%になった[1]。そのため、教育とは一般的に学校教育を思い浮かべる人が多くなっている。  この背景には、20世紀後半の日本型雇用が影響している。長期雇用、年功序列、新卒採用、企業内教育訓練が日本型雇用の特徴である。このことにより、大人の教育は正社員を対象とした企業内訓練が中心となり、それ以外の大人の教育は重視されなかった。  教育は、日本型雇用に合わせ、新卒一括採用に合う人材を育成する、普通科志向と学歴志向が強まった。  1990年代後半以降は、経済環境が変化し、日本型雇用を見直すようになった。多くの企業は新卒一括採用を減らし、有期雇用や非正規雇用の枠を拡大し続けている。1992年の非正規雇用労働者は1053万…

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