熊本県阿蘇地域に旅行に行ったことを思い出した。その中に、「食と農や資源を活かした地域産業の発展方策」がなされていたことを再認識した。
阿蘇地域は九州地方の中心部に位置し、政令指定都市の熊本市を中心に、東に鉄道または道路でつながっている。活火山の阿蘇山とそのカルデラが特徴的な地形をしている。温泉と高原、そして豊かな水資源があり、世界的にも珍しい自然環境である。その自然を活かした観光農園観光牧場、乗馬などのレクリエーションも盛んである。
ある地域を訪れると何か商品を購入するために商店に立ち寄る。熊本県のどの店にも、ご当地キャラクターの先駆けとなった「くまモン」がプリントされたのぼりやパッケージがなされた、地元商品が見られた。熊本県に関わる商品には、ほぼ「くまモン」が印刷されていると言ってもよいくらいに浸透していた。なお、「くまモン」は熊本県がそのキャラクターを通して熊本県の物産のブランド化を推進しており、キャラクター使用許諾、広報活動等を一手に引き受けている。行政が主体となり、ゆるキャラブームが去った今も継続的に地元と地元の物産の広報を続けている。地道で継続的な取り組みがブランド化と知名度向上につながる事例だと考えた。
宿泊した施設が提供する食事は、地産地消を特徴としていて、地元の阿蘇の食材と地元の赤牛と呼ばれるブランド牛を提供し、どのような特徴をもった食材であるのか説明がなされながら食べることができる。普段の食事では、誰が作り、この行為が誰のために役に立っているのかが認識し難いが、このような食事の提供と説明がなされると、自身の行動がその地域の人につながっているということを実感できるようになると考えた。
地元の自治体や民間団体が出資し運営しているワイナリーも存在している。これは、新しい地域フードシステムの構築を目指した試みであるである。ワイナリー見学もでき、観光資源にもなっている。
地域産業発展には複合的な方策が必要であると考えた。