道路、農業、医療など様々な政策分野において、その分野を管轄する官僚組織、関連業界団体、族議員の三者の結びつきが政策を管理運営している。この結びつきを鉄の三角形と呼ぶ。三者は互いに利用し合い、助け合うという関係にある。官僚組織は自らの権限、財源を確保するために族議員の力を利用し、関連業界に恩を売ることによって天下り先を確保する。業界団体は仕事を受注したり、予算を確保したりするために族議員に票と政治資金を与え、官僚の天下りを受け入れる。族議員は業界の面倒を見て政治資金と票を得る一方、法案や予算の審議で官僚組織に恩を売る。近年、道路公団の民営化論議などの中で、鉄の三角形の実態の一端がようやく明らかになりつつある。鉄の三角形は既得権を守る利己的な存在である。しかし、一般有権者の投票率が低く、利益団体に依存することが当選の近道であるという状況がある限り、なくなることはない。小泉政権の下で自民党は脱利益配分政治を目指したようにも見える。また、特定郵便局長会や医師会など従来の利益団体の影響力にも陰りが見られる。新政権でこの点がどう展開するか注目される。
参照
朝日新聞「知恵蔵」