詩編119編 129-136節
135節 御顔の光をあなたの僕の上に輝かせてください。 あなたの掟を教えてください。
詩編119編は詩編最長です。詩人による主への祈りで、人は律法に従って生きるべきだと歌います。作成時期は紀元前6世紀バビロン捕囚のころかその後とされています。紀元前586年、ユダ王国の首都エルサレムが新バビロニアのネブカドネザル王によって征服され、住民のヘブライ人は、囚われの身となってバビロンに連行され、約50年の捕囚生活の後、新バビロニアがアケメネス朝ペルシアのキュロス2世によって滅ぼされた前538年に解放されてパレスチナの地に戻ることが許されたというのが、歴史的なバビロン捕囚の説明です。この民族的苦難を契機としてユダヤ人としての民族意識を高め、ユダヤ教という民族宗教の体系ができました。国が破れたとき、その民族が崇拝する神は求心力を失い消滅するか、征服国の神を崇拝するようになるというのが、古代の常識でした。神が弱いから負けたという話になるのです。しかし、旧約聖書を書いた人々の共同体は、神は絶対で、悪いのは律法を守れなかった私達にあると考えました。周りは悪に走り生活は苦しくあまりに困難な時に、主の掟はどれだけ輝かしいものだったでしょうか。全員が詐欺師でどうにか他人を出し抜いてやろうとしている集団の中で、主の律法を求める人がいるとするとそれは尊いことだと思います。