
近年、紅茶市場の拡大が顕著である。コンビニ各社や大手カフェチェーンが相次いで紅茶商品の拡充に取り組んでいる。紅茶の魅力が改めて見直され、消費者層の広がりを背景に新たなビジネスチャンスが生まれている。
紅茶の消費額が急増
総務省の家計調査によれば、紅茶の世帯ごとの平均支出額は2022年に652円、2023年に683円、2024年には766円と、わずか2年で大きく増加した。この背景には、コーヒー豆価格の高騰がある。アラビカ種のコーヒー豆は、気候変動等の影響で2023年1月時点の261円(1ポンドあたり)が、2025年1月には534円へと倍増している。
この状況を受け、アレンジの幅が広く、食事やスイーツとも相性が良い紅茶が消費者の注目を集めている。特に若年層や女性を中心に人気が高まっており、業界各社は紅茶市場の成長を新たなビジネス機会と捉え、積極的な商品展開を進めている。
コンビニ各社の紅茶戦略
セブン-イレブンでは、専用マシンによる「セブンカフェ ティー」を導入し、アールグレイやダージリンブレンドなど数種の茶葉を提供。専用カップをマシンにセットし、茶葉の蒸らし工程を加えることで、本格的な紅茶の香りと味わいを実現している。現在は全国約90店舗で展開中だが、2027年2月までに約1万店舗への拡大を計画している。
ファミリーマートでも「Afternoon Tea」とコラボしたオレンジ香るアールグレイティーを販売し、シリーズ累計で2.9億本を突破するなど、紅茶の需要拡大に応じた戦略を推進している。
コーヒーショップの紅茶強化――スタバ・タリーズの事例
コーヒーショップ最大手のスターバックスは、2024年2月から東京・銀座に紅茶専門店「ティバーナストア」をオープン。豊富な茶葉の品揃えと、目の前で淹れるライブ感のあるサービスを強みとして、従来のコーヒー中心のブランドイメージを刷新し、新たな顧客層の獲得を狙う。特に、「アールグレイブーケ ディライト」など、香りやフレーバーに特徴を持たせた商品を展開している。
タリーズコーヒーもまた、紅茶の柑橘系やベリー系との相性やアレンジの幅を活かし、季節限定商品を積極的に展開。紅茶の多様なアレンジ性を前面に打ち出すことで、差別化と市場拡大を図っている。