簿記


簿記とは、企業などの経済主体が行う経済取引によって生じる資産・負債・純資産の増減や、一定期間内の収益・費用を記録・管理する手法である。平易に言えば、「お金やものの出入りを記録する方法」である。記帳方式には単式簿記と複式簿記があるが、産業革命以降の企業規模の拡大に伴い、今日では主に複式簿記が「簿記」として用いられている。

歴史的には、貨幣経済の発展とともに古代ローマやギリシャなどで単式簿記が用いられていた。その後、14世紀から15世紀のルネサンス期にイタリア商人が複式簿記を発明し、ルカ・パチョーリが1494年に刊行した『スムマ』により複式簿記が広く紹介されたことが、ヨーロッパ全域への普及を促した。

日本では、1873年(明治6年)に福沢諭吉が訳著『帳合の法』を刊行したことを契機に洋式簿記が導入された。以後、商業簿記講習所での教育や官公庁による簿記書の出版を通じて、複式簿記による記帳法が定着していった。

現在の簿記は、大きく分類すると以下のとおりである。まず、記帳法には単式簿記と複式簿記があり、多くの企業では複式簿記を前提としている。次に、経済活動の種類に応じて商業簿記や工業簿記、農業簿記、建設業簿記などが用いられる。商業簿記は商品仕入・販売業を対象とし、工業簿記は原価計算を重視する。これらを含む各種簿記は、会計学の実務的側面を担う基盤として機能している。


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