Q.相続法総説


Aには、妻B、Bとの間の子C・Dがおり、Cには子Eがいる。この場合に関する次の記述のうち、⺠法の規定に照らし、正しいものはどれか。

1 Aが死亡した場合、法定相続分によれば、B、C、Dが3分の1ずつの相続分でAを相続する。
2 AとCが同じ事故により死亡し、その死亡の先後が不明である場合、Aの相続人となるのは、BとDの2人である。
3 Cが、Aに対して虐待をし、又は重大な侮辱を加えていた場合、Cは、Aの相続につき欠格事由に該当し、Aの相続人となることができない。
4 Aが死亡した後、Cが相続の放棄をした場合、Eは、Cを代襲してAの相続人となる。
5 Aが死亡し、Aの遺産である甲建物をBが遺産分割協議により取得した場合において、その後、甲建物に基礎工事の欠陥があったことが判明したときは、Bは、他の共同相続人に対し、担保の責任を追及することができる。

正解 5

1 誤 り 被相続人の子、及び被相続人の配偶者は、相続人となる(⺠法887条1項、890条)。そして、子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1となり(同法900条1号)、子が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとなる(同条4号本文)。以上から、本肢の場合、法定相続分によれば、Bが4分の2、CとDが4分の1ずつの相続分でAを相続する。

2 誤 り 数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定される(⺠法32条の2)。そして、被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる(代襲相続 同法887条2項本文)ところ、同項の「以前」には、「同時」の場合も含まれる。以上から、本肢の場合、B、DがAの相続人となるほか、Cの子EがCを代襲してAの相続人となる。

3 誤 り ⺠法891条は、相続人の欠格事由について定め、同条各号に該当する者は、相続人となることができないとしているところ、本肢のように、被相続人に対して虐待をし、又はこれに重大な侮辱を加えた場合については、当該欠格事由には掲げられていない。なお、遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、又はこれに重大な侮辱を加えたときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる(同法892条)。

4 誤 り 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は欠格事由に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる(代襲相続 同法887条2項本文)。相続の放棄(同法938条以下)については、代襲原因とされていないため、本肢の場合、Eは、Cを代襲してAの相続人となるわけではない。

5 正しい各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う(⺠法911条)。これは、各共同相続人が、互いに、自己の相続分に応じて、権利及び物に関して不適合のないものを移転する義務を負うことを意味する。本肢において、甲建物に基礎工事の欠陥があったことは物に関して不適合があるということになるから、甲建物を取得したBは、他の共同相続人であるC、Dに対して、売主と同じ担保の責任(同法562条以下)を追及することができる。

以上により、正しいものは肢5であり、正解は5となる。


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