・PCR法は、人工的な溶液中で特定の塩基配列をもつDNAを増幅する技術。DNAポリメラーゼを使用。(RNAではない)
・細胞周期を制御するのはサイクリンとサイクリン依存性キナーゼ。ホルモンなどは細胞が増殖するか分化するかなどを制御。細胞周期を制御しない。
・リボソームはrRNAとタンパク質からなる構造
・tRNAには酵素活性はない。アミノアシルtRNA合成酵素がtRNAに適切なアミノ酸を付加している
・翻訳の開始コドンは通常AUG。一方、終止コドンは3種類UGA,UAA,UAG。また例外的にUGAがアミノ酸を指定する場合もある。
・プロモーターは転写開始に関わる遺伝子のすぐ上流にある短い遺伝子配列(タンパク質ではない)
・エンハンサーは遺伝子の近傍や内部にあり、転写因子が結合することによって転写促進に関わる短い塩基配列。
・オペロンは原核細胞において一続きで転写される領域。機能的に関連したいくつかのタンパク質情報を含む
・転写はRNAポリメラーゼによって行われる。RNAポリメラーゼはRNA鎖の3’末端のみに新たなリボヌクレオチド付加しRNAを伸長させる。
・キラリティー
定義1:ある分子が、回映軸対称を持たないとき、その分子をキラルな分子という。
定義2:ある分子の構造式を鏡に映し、その鏡の中の構造式(鏡像)を回転させて、鏡に映す前の構造式とピッタリ重なる時、その分子は回映軸対称を有する。
・オルガネラ
細胞小器官,細胞器官ともいう.細胞内の構造物で,一定の機能をもつもの.例えば,核,ミトコンドリア,ゴルジ体,飲小胞,リソソームなど
2019年度第1学期単位認定試験
問 1 分子や細胞に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① すべての生物は細胞からできている。例えば,大腸菌や酵母では1つの細胞が1つの個体を形成し,ヒトでは複数の細胞から1つの個体が形成される。
② 細胞は,いずれも膜で包まれた袋状の構造をしている。その内部には細胞自身が合成した物質や,外部から取り込んだ物質がある。
③ 細胞は栄養を貯蔵するための構造である。植物なら根に,動物なら腹部にのみ存在し,内部に中性脂肪やでんぷんを蓄積している。
④ 細胞は,タンパク質を合成するための情報を遺伝子として保持している。その遺伝子の実体がDNAという物質である。
⑤ 細胞は細胞から生じる。これが細胞説の根幹の1つである。
問 1 分子や細胞に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。 ① すべての生物は細胞からできている。例えば,大腸菌や酵母では1つの細胞が1つの個体を形成し,ヒトでは複数の細胞から1つの個体が形成される。 ② 細胞は,いずれも膜で包まれた袋状の構造をしている。その内部には細胞自身が合成した物質や,外部から取り込んだ物質がある。 ③ 細胞は栄養を貯蔵するための構造である。植物なら根に,動物なら腹部にのみ存在し,内部に中性脂肪やでんぷんを蓄積している。 ④ 細胞は,タンパク質を合成するための情報を遺伝子として保持している。その遺伝子の実体がDNAという物質である。 ⑤ 細胞は細胞から生じる。これが細胞説の根幹の1つである。
問 2 タンパク質に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① タンパク質の細胞内での機能は1つであり,それは化学反応の触媒である。これは酵素とも呼ばれる。
② 酵素には一般的にプロテアーゼのように「〇〇アーゼ」のような名前がつけられている。ただし,トリプシンのように異なるものもある。
③ 生物が合成するタンパク質は,20種類のアミノ酸がペプチド結合により長くつながった物質である。
④ タンパク質のアミノ酸の並びのことを,タンパク質の一次構造と呼ぶ。タンパク質の機能は,この一次構造によって決定されており,アミノ酸の並びが違うとタンパク質の機能が異なる場合がある。
⑤ 生体内のタンパク質は折り畳まれて,ひとまとまりの空間的構造(三次構造)を作る。この過程をフォールディングという
問2 正解①(解説)第2章の1.タンパク質の機能、2.タンパク質の構造からの出題です。誤っている記述は①です。タンパク質の機能は多様です。化学反応の触媒となる酵素タンパク質だけではなく、筋構造タンパク質、貯蔵タンパク質、モータータンパク質など様々です
問 3 転写に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① DNAを鋳型にしてRNAを合成する酵素を,RNAポリメラーゼという。その合成の方向は5’から3’の方向であり,逆の方向には起こらない。
② 細胞で転写により作られるRNAとして,mRNA,tRNA,rRNAなどが知られている。タンパク質のアミノ酸配列の情報を含むRNAはmRNAである。
③ タンパク質の情報をもつ遺伝子の場合,転写が始まる転写開始点の下流にプロモーターという特別な部位が存在し,転写の抑制に関与している。
④ 細胞が特定の遺伝子のみを転写するしくみ(転写の調節機構)を説明するために,ジャコブとモノーはオペロン説を提唱した。
⑤ 真核細胞での転写に必要なタンパク質として,RNAを合成する酵素や,プロモーターを識別するための基本転写因子が知られている
問3 正解③(解説)第4章1.転写とは何か、2.原核細胞における転写とその制御、3真核細胞における転写からの出題です。誤っている記述は③です。tRNAなど、真核細胞の一部の低分子RNA遺伝子を除くと、プロモーターは遺伝子の転写開始点の上流にあります。そして、プロモーターがなければ転写も行われないので、転写の抑制にはたらくわけではありません。
問 4 翻訳や遺伝暗号に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① 生物の遺伝暗号では,遺伝子のDNA(またはその転写産物のmRNA)の3つの塩基が1つのアミノ酸を指定する。
② 遺伝暗号には重なりがなく,コドンの塩基が決まれば,特定のアミノ酸が翻訳停止を指示する。
③ 複数のコドンが同一のアミノ酸を指定することがある。例えば,グリシンというアミノ酸を指定するコドンは4種類ある。
④ 遺伝暗号は生物ごとに異なっている。そのため,ある生物種の遺伝子のDNAが別の生物のDNAに入り込んではたらくことは,自然環境では起こらない。
⑤ リボソームは大小2つのサブユニットからなる。各サブユニットは,タンパク質とrRNAを含んでいる
問4 正解④(解説)第6章1. 遺伝暗号とその異常からの出題です。誤っている記述は④です。遺伝暗号はほとんどの生物で同一です。したがって、ある生物の遺伝子のDNAが別の生物のDNAに入り込んで機能することもあります。また、遺伝暗号が異なっていたとしても、多くの場合は1-3ヶ所のコドンの違いであり、よく見られる違いは、終止コドンが特定のアミノ酸をコードするコドンになる、あるいは逆に特定のアミノ酸を指定するコドンが終止コドンになる、といったものです
問 5 細胞や細胞小器官の膜に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① 真核細胞は,細胞膜という膜に包まれた構造である。この膜は細胞の外と内を区別する役割をもち,それ以外の機能はない。
② 細胞膜を構成する主要な分子の1つがリン脂質である。この物質は両親媒性という性質をもつ。この性質が細胞膜を形成する上で重要である。
③ 細胞膜には様々なタンパク質が存在する。これらは膜タンパク質といい,細胞膜の機能においてもリン脂質とは異なる役割を担っている。
④ チャネル,ポンプ,共役輸送体といったタンパク質は,特定の物質を細胞に取り込んだり,排出したりする際に機能する膜タンパク質である。
⑤ ミトコンドリアでは,内膜を境にして形成されるプロトン(水素イオン)の濃度勾配を利用してATPを合成する。
問5 正解①(解説)第8章1.細胞を包む細胞膜、2.細胞膜の役割、3.細胞膜を構成するリン脂質、6.細胞膜による選択的透過性、8.膜を利用したエネルギー転換からの出題です。誤っている記述は①です。細胞や細胞小器官の膜は外と内を区別する役割をもちます。それに加えて、物質の取り込みや排出、エンドサイトーシスやエキソサイトーシス、あるいはミトコンドリアでのATP合成や葉緑体での光合成でも、これらの膜が重要な役割を担っています
問 6 代謝に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① 細胞内で生じる化学反応の中でも,生物が生命活動に必要な物質を合成する反応や,エネルギーを得るために行う物質を分解する反応を代謝という。
② 解糖系を,グルコースが分解されてピルビン酸になる過程で,ATPやNADHを合成する代謝と見ることもできる。
③ 解糖系においては,1つの酵素が様々な化学反応を触媒し,代謝経路を形成する。
④ 代謝は様々な形で制御される。酵母などでは,培地のグルコース濃度の変化といった,環境の変化に応じて自身の遺伝子発現を変えて,代謝を調節することができる。
⑤ 代謝は,動物や植物の個体の恒常性維持にも役立っている。例えば,ヒトなどの哺乳類では,血液中のグルコース濃度に応じて,特定の細胞がグルコースを取り込んで貯蔵物質に変換したり,貯蔵物質を分解して血液中に放出したりといったことを行い,血液中のグルコース濃度を一定に保つ
問6 正解③(解説)第9章1.代謝とは、2.代謝経路、5.代謝の制御からの出題です。誤っている記述は③です。解糖系など、多くの代謝経路では、複数の酵素が様々な化学反応を触媒し、代謝経路を形成します。酵素は基質特異性(2章3.タンパク質の構造と機能)をもつため、特定の基質に対して特定の化学反応を触媒します
問 7 細胞のシグナル伝達に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① 細胞において,外部の物質の存在やその状態などの,外部のシグナル(信号)を受け取るセンサーの役目を担っているのは受容体である。
② 細胞が受け取る外部からのシグナルは,光,音,熱を除くと,ほとんどが分子である。これらのシグナルとしてはたらく分子をシグナル分子という。
③ 受容体は,特定のシグナル分子のみを受容する。これは,受容体が特定のシグナル分子とのみ結合するためである。そのため,区別すべきシグナル分子の種類に応じて,異なる種類の受容体が必要となる。
④ 多細胞性の生物では,自身の細胞や器官の間の情報伝達において,シグナル分子を利用している。その典型が,ホルモンや神経伝達物質である。
⑤ 動物や植物の細胞は様々なシグナル分子に応答する必要があるため,個々の細胞ごとに極めて多くの種類の受容体を発現し,細胞膜に保持している
問7 正解⑤(解説)第11章3.受容体タンパク質、4.シグナル分子と受容体、5.シグナル分子によるシグナル伝達からの出題です。誤っている記述は⑤です。4.シグナル分子と受容体で示した嗅細胞のように、個々の細胞が発現している受容体の種類はそれほど多くないと考えられています。
問 8 細胞分化に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① 多細胞性の生物のからだは,機能の異なる様々な細胞から構成されている。このような細胞間の機能の違いは,各遺伝子からの発現の有無や発現量の違いによって生じる。
② 細胞自身がもつゲノムDNAの中の不用な領域を失うことが,細胞の分化を引き起こす原因の1つである。例えば,皮膚の細胞は,神経や筋肉の細胞でのみ用いられる遺伝情報を失っている。 ③ 細胞に分化を引き起こす要因として,細胞の非対称分裂が知られている。この場合,細胞内部で合成されたタンパク質が細胞分裂時に一方の細胞のみに分配されることによって細胞分化が生じる。
④ 細胞では隣接する細胞の有無やその種類の違いによって,細胞分化の道筋が変化することがある。例えば,線虫の発生初期では,特定の細胞を除去すると,それと隣接する位置にある細胞が正常とは異なる種類の細胞に分化する場合がある。
⑤ 動物の細胞は,一般的に1度分化すると元の未分化な状態へ戻ることは難しい。一方で,植物の細胞は動物の細胞と比較すると,容易に脱分化や分化転換が起こる。
問8 正解②(解説)第12章4.細胞の脱分化、5.細胞の分化を制御する、からの出題です。誤っている記述は②です。細胞が分化の過程で、不用なDNA領域を喪失することは通常ありません。例外的に、哺乳類の獲得免疫に関わる細胞の中には、部位特異的な喪失が生じますが、それも分化の結果であり、原因ではありません
問 9 ウイルスに関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① いずれのウイルスもタンパク質でできたキャプシドという構造をもつ。
② ウイルスの中には,エンベロープという膜で包まれているものもある。このエンベロープは,そのウイルスが感染していた宿主細胞の膜に由来する。
③ ウイルスは,内部に遺伝物質や感染後に必要なタンパク質を保持している。
④ ウイルスは,細胞が分裂するように増殖する。1つのウイルスが2つになり,2つのウイルスが4つになりといった形で,周期ごとに倍に増える。
⑤ ウイルスはウイルス自身だけでは増殖できない。特定の感染可能な細胞が必要であり,その細胞の様々な資源を自身の増殖に利用する
問9 正解④(解説)第13章2.ウイルスの構造、3.ウイルスの増殖機構からの出題です。誤っている記述は④です。ウイルスは分裂によって増えるのではなく、細胞内で必要な分子を個別に合成し、それらをキャプシド内に収めます。よって、一度に何百倍にも増殖することも可能です
問10 アルツハイマー病に関する次の①~⑤の記述のうち,誤っているものを一つ選べ。
① 認知症の原因の1つとして,アルツハイマー病が知られている。
② アルツハイマー病では,解剖学的には脳の萎縮,老人斑の蓄積,神経原線維変化の出現が認められる。
③ アルツハイマー病の老人班は,脳の神経細胞の外にアミロイドタンパク質が蓄積して形成される。
④ 遅発性アルツハイマー病のリスク遺伝子として,アポリポタンパク質Eがよく知られており,その遺伝子の塩基配列の多型とアルツハイマー病の関係が調べられている。 ⑤ 遅発性アルツハイマー病のリスク遺伝子の塩基配列を決定すれば,生涯の間にこの疾患を発症するかしないかがわかる。
問10 正解⑤(解説)第15章1.老化、2.ゲノム解析によるリスクの判定、からの出題です。誤っている記述は⑤です。遅発性アルツハイマー病の場合、リスク遺伝子であるアポE遺伝子のアポE4という塩基の多型をもつ人は、もたない人よりも疾患を発症するリスクが高い。しかし、リスクが高くても発症しない人もいます。個人のDNA塩基配列から、病気へのなりやすさを推定できますが、実際になるかどうかは、個人の生活様式など様々なことの影響を受け、現時点では確率的にしか予測できません