政府、2030年までにサイバー人材5万人体制を構築へ


政府は国内企業や官公庁を狙ったサイバー攻撃に対応するため、国家資格「情報処理安全確保支援士」保有者を現在の約2万4,000人から倍増し、2030年までに5万人体制を整備する方針を固めた。資格維持のために発生する更新講習費用の軽減や、企業とのマッチング強化を通じて、専門人材の活躍の場を拡大する。

情報処理安全確保支援士は2016年に創設され、サイバー防御策の策定やインシデント対応を担う専門家として位置づけられている。しかし現状では更新のたびに実践講習を受講し、10万円超の費用を負担しなければならないことが、人材増加の大きな障壁となっている。政府は2026年度から、企業実務に従事している支援士については講習を免除するなど、更新要件を緩和し、費用・時間的負担を軽減する。

また、2025年度には支援士の専門領域や就業希望地を明示した公的名簿を作成し、企業が必要とする人材を迅速に検索・契約できる仕組みを整備する。加えて、2026年度以降に企業のサイバー防御対策評価制度を導入し、国の補助金交付要件に資格保有者の雇用状況を盛り込む予定だ。これにより、企業側にも資格取得者確保のインセンティブが高まり、専門人材の採用環境が一層整備される見通しである。

近年、国内におけるサイバー攻撃の脅威は増大の一途をたどっており、政府は「能動的サイバー防御」を可能とする関連法案の成立を今国会で目指している。今回の人材倍増計画は、経済安全保障の要として官民協力体制を強化し、我が国のデジタル社会を守る重要な一歩となるだろう。


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