政官財とは、政界、官界、財界、または、政治家・官僚・財界人を合わせた呼び名である。
軍産複合体や政財官の強固な結び付きなどや、業種(業界)ごとに形成される担当省庁、自民党政調会部会や族議員、関係企業や利益集団の関係を鉄の三角形(鉄のトライアングル)と呼ばれる。特定分野の政策過程における担当省庁、政党または議員、利益集団の三者間の関係を指し、特に協力関係を表す用語としても使われる。
この三者は日常的な接触を通じて顔見知りの間柄であることが多いため、利益共同体的な性格を帯びている。官僚組織は自らの権限、財源を確保するために族議員の力を利用し、関連業界に恩を売ることによって天下り先を確保する。業界団体は仕事を受注したり、予算を確保したりするために族議員に票と政治資金を与え、官僚の天下りを受け入れる。族議員は業界の面倒を見て政治資金と票を得る一方、法案や予算の審議で官僚組織に恩を売る。
車検制度は、政官財の関係によって維持されている制度の1つといえる。日本では自動車の点検・整備が法律で義務付けられている。米国においては、自分の車の整備は自分で責任を持つものであり、国が口を出す必要はないという考え方であり、このような義務付けはない。また、車検費用も外国に比べ高くなっている。車検費用はドイツでは1万円以下、アメリカではそれ以上に安くなっている。対して、日本では、約6万円がかかる。車検制度は1951年道路運送車両法に基づいている。当時の日本車の故障しやすさが原因で作られた法律であるが、車の性能が向上し、故障が発生しなくなった今日では時代遅れである。
見直しがなされない背景には、以下の通りである。整備業界全体で約54万人の雇用者がおり、日本自動車整備振興連絡会という利益集団を形成している。政治家は自動車整備議員連盟を組織して、票と資金を頼りにし、整備工場の利益を守るために働いている。さらに官僚である。車検制度は国土交通省の所管であり、車検は国の検査場で行われており、約1400名の国土交通省職員が働いていた。検査場は現在独立法人化されている。他にも車検に関わる団体が存在し、車検制度が緩和されると国土交通省の天下り先が減るのである。このような、三者の利益が一致しているために、強固に制度が維持されてきたのである。
数では多数の消費者の利益ではなく、少数の政治家、官僚、整備業者の利益が守られるかについてであるが、費用と便益という考え方がある。消費者が車検制度改革で得られる利益は数年で数万円得をするか程度のものである。これに対して、時間を割いて政治活動はしないのである。対して政官財当事者は、自身の生活がかかっていて、政治活動に時間と費用をかけてでも守りたい制度である。民主主義の政治は、一人一票で数の多数派によって進んでゆく制度であると思われるが、政治活動に投じる事ができる費用によっても左右されるものであるということがわかる。近年、政官財の結びつきは、あまりに大きな不利益を多数に強いる場合は、報道によって有権者の茶の間にあがり、改革を主張する政治家の当選につながるなどの状況もあり、鉄の三角形がいつまでも盤石というわけではないという現状にある。