宗教法人における収益事業と法人税についての考察 -キリスト教における収益事業と法人税について-


法人税法上、宗教法人は公益法人等に該当し、法人税法2条13号所定の収益事業を行う場合に限って、法人税の納税義務を負うこととされる。一方、宗教活動による献金などを収入する行為は、その収益事業に当たらないと解される。

キリスト教においては、教育活動、介護福祉活動、出版印刷活動、バザー、宗教施設を音楽イベントやキリスト教関連施設に貸し出すなどの宗教活動であるのか収益事業であるのか曖昧な活動がある。また、冠婚葬祭における牧師派遣サービスなどが展開されている。特に、宗旨・宗派不問として、結婚式に牧師を派遣する場合に派遣料を明記しているサービスも存在する。このようなキリスト教における宗教ビジネスと考えられる活動が、法人税法上の収益事業に該当しないとされる行為に対してどのような位置にあるのか、宗教法人に新たな課税上の問題を生じさせるものなのかなど、宗教法人法など関係法令を踏まえた検証の必要がある。また、諸外国のキリスト教教会や宗教法人に対する課税制度や歴史について比較考察することによって、国内関係法令や税制史との同一点や差異が明確になると考える。

本研究は、キリスト教宗教法人に、宗教的相談をもつ依頼者や宗派的教育活動や宗派的出版によって販売・提供される宗教的なサービスについて、その収益事業該当性の検討を目的とする。


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