公立学校教員研修/子どもの権利条約/特別支援教育/学校保健・学校安全/学校教育・家庭教育・社会教育


1. 公立学校教員の研修

教育基本法第9条は「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」とある。教員の研修は教育公務員特例法第21条で「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」、第2項「教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立しその実施に努めなければならない」としている。研修の機会については教育公務員特例法第22条に「教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない」第2項に「教員は、授業に支障がない限り、本所属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」第3項「教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる」としている。また2007(平成19)年改正教育職員免許法の成立により、教員免許状の有効期限が10年間になり、教員免許状の更新するために、教員免許状更新講習を受講する必要がある。

2. 子どもの権利条約の趣旨と内容

 「子ども(児童)の権利に関する条約」は、子どもの権利をあらゆる角度からとらえ、包括的に規定した条約である。子どもを権利行使の主体として明確に位置づけ、子ども関わるあらゆる行動において、子どもの最善の利益が第一に考慮されなければならないと定められる。子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」等が明記されている。大きな特徴は、子どもの最善の利益の実現にあたり、何が最善であるかの判断基準として、子ども自身の意思表明に参加を含め、子ども自身が権利行使に際して、これを指示するまたは指導する保護者等の責任と権利を尊重することを締結国に義務付けたことである。単なる宣言に終わらず法的拘束力のある条約形式となったことは、子どもをめぐる人権思想史において大きな前進であった。日本において、「子ども(児童)の権利に関する条約」は1994(平成6)年に批准され、効力が生じるようになった。

3. 特別支援教育の制度

 障害のある児童生徒の学習は、教育基本法第72条から特別支援学校、教育基本法第81条から特別支援学級、学校教育法施行規則第140条から通級による指導、通常の学級で行われる。特別支援学校で学習する視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者または病弱者の障害の程度は、学校教育法施行規則第22条の3に示される。特別支援学級は各学校に学級を置くことができ、知的障害者、肢体不自由者、身体虚弱者、弱視者、難聴者、その他障害があるもので、特別支援学級において教育を行うことが適当なものに対して、障害による学習上または生活上の困難を克服するための教育を行う。通級による指導は通常学級に在籍して、年間35~280時間を通級指導教室に通って、障害の状態の改善または克服を目的とする指導や特に必要があるときは、障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための指導を受ける。さらに2013(平成25)年、学校教育法施行規則第22の3の障害の程度であっても、総合的な判断に基づいて、小学校、中学校に就学する場合に対応する手続きが見直された。障害がある者とない者がともに学ぶ際に、障害者が十分な教育が受けられるように、教育内容の改善、必要な施策がなされなければならなくなった。

4. 学校保健と学校安全

 学校保健安全法は、2009(平成21)年に学校保健法が改正され施行された。改正趣旨は「学校保健及び学校安全の充実を図るとともに、学校給食を活用した食に関する指導の充実及び学校給食の衛生管理の適切な実施を図るため、国が学校の環境衛生及び学校給食の衛生管理等に関する基準を策定するとともに、養護教諭、栄養教諭その他の職員の役割について定める等所要の措置を講ずること」である。

 学校保健については、児童生徒等および職員の健康診断等について、学校がその計画を策定実施することが義務付けられている。さらに、学校保健安全法施行規則第1条では、学校は環境衛生検査を毎年定期に行わなければならないとしている。

 学校の安全管理には、学校保健安全法第27条で、施設、設備の安全点検や学校生活その他の日常生活における安全に関する指導等について、学校が「学校安全計画」を策定し、実施することを義務付けている。

 避難訓練については、東日本大震災における釜石市の児童生徒の避難行動成功事例などを参考にし、避難訓練の方法や意義について再考改訂し児童生徒の命を守る有効な避難訓練を実施することが必要とされる。

5. 学校教育・家庭教育・社会教育の関係

 社会教育とは、教育課程として実施される学校教育以外のあらゆる教育を指すと考えられる。成人だけでなく、青少年も対象にした教育であり、継続性、組織性および体系性が弱いという特徴がある。近年、教育機会の多様化、高齢化、広域化し、学習活動や民間教育活動が広がったことから、社会教育を生涯教育や生涯学習という場合もある。

 教育基本法第13条は「学校、家庭及び地域住民その他関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるもの」とされている。1949(昭和24)年に社会教育法が制定され、行政に対して社会教育の奨励やすべての国民がみずから実際生活に即する文化的な教養を高めるような環境醸成によって振興を図るように求めており、特に公民館や学校施設の利用による社会教育事業の実施、社会教育関係団体や住民への支援方策などを明確にする根拠法になっている。1990(平成2)年には生涯学習振興法が制定され、生涯学習の施策について配慮すべきこと、生涯学習の振興に資する都道府県の事業にかんすること、地域生涯学習振興基本法構想、都道府県生涯学習審議会の設置を求めるなどの内容が定まった。

参考文献

藤井 穂高 編 (2018)『教育の法と制度』ミネルヴァ書房


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