光合成のプロセスは、光によってエネルギー(ATP)と還元力(NADPH)の生成する光化学反応と、ATPとNADPHを使って二酸化炭素を固定する炭酸固定反応に分けられる。
過去の研究の積み重ねによって光合成の主要な反応経路や各複合体のサブユニット組成などが詳細に調べられ、主な構成タンパク質の遺伝子はほとんどがクローニングされている。
どのように、光合成の精巧な仕組みはできあがっていくのか?植物はどうやって違う環境に順化し、光合成の仕組みを変化させていくのか?また、どのように現在の環境に適応・進化してきたのか?
現在では研究手法の発達に伴って、PAMによる蛍光の測定などを用い個体そのもので光合成を非破壊的に解析することが可能となってきた。このような状況の下で、現在シロイヌナズナ、および植物のモデル生物としてのシアノバクテリア(ラン藻)を用いて光合成を含めた環境応答システムの研究も行われている。
PAM蛍光法[pulse amplitude modulated fluorometry]
光化学系Ⅱのクロロフィルa蛍光測定法の一種。生理学的光条件下における光化学系Ⅱ反応の量子収率と、その変化を見積もることが可能である。ドイツのSchreiberらにより普及タイプの測定装置が開発され、一般に繁用されるようになった。弱い赤色LED(発光ダイオード)パルス光を測定光として用いる。光化学系Ⅱからのクロロフィル蛍光をダイナミックレンジの広いピンダイオードで検出し、モニター光と同じ周期で変動する部分を差動増幅して信号を得る。光化学反応を駆動する励起光として用いる連続光由来の蛍光や反射光は周期変動成分をもたないので増幅されないため、測定光由来の蛍光を励起光の妨害なしに測定できる。この結果,白色光照射下での量子収率の変化などの測定が容易に行える。
参照
- http://photosyn.jp/pwiki/index.php?PAM%E8%9B%8D%E5%85%89%E6%B3%95
- http://www.photosynthesis.jp/res.html