中国の東部や南部、東北地方などで、電力需給逼迫(ひっぱく)を理由とした停電や電力供給制限が相次ぎ、電力不足が深刻化している


 中国の東部や南部、東北地方などで、電力需給逼迫(ひっぱく)を理由とした停電や電力供給制限が相次ぎ、電力不足が深刻化している。石炭価格の高騰による火力発電所の稼働率低下が原因とされるが、習近平指導部が掲げる二酸化炭素(CO2)排出量削減目標達成のための「政治的理由」との見方もある。日系企業や米アップル向けの部品を生産する工場も含め操業停止が広がっており、中国経済や国内外の企業活動への打撃が懸念される。 中国メディアによると、電力不足や供給制限が明らかになっているのは、黒竜江、遼寧、吉林、江蘇、浙江、安徽、山東、河南、広東、貴州、雲南、陝西、青海の各省や新疆ウイグル、内モンゴル、寧夏回族、広西チワン族の各自治区、重慶市など全31省・自治区・直轄市のうち20に上り、広い範囲に及んでいる。 広東省や安徽省では当局が22日、製造業など多くの企業に10月から計画停電で電力供給を制限すると通知。鉄鋼業など一部の企業は既に電気を止められており、10月上旬の国慶節(建国記念日)の大型連休を前倒しして休業を余儀なくされた企業も少なくない。 東北の吉林省吉林市では26日、電力不足のため水道施設のポンプなどの稼働が不安定になり、来春まで断水が頻発するとして、住民に節水を呼び掛けた。東北では、これまでは工場など事業所に限ってきた計画停電の対象を一般住宅にも広げる動きが出ている。 中国の電力供給は石炭火力発電が主力。石炭価格が1年前に比べ3割以上も上昇して発電コストが電力価格を上回るようになり、各地の石炭火力発電所が稼働率を落としていることが中国国内で報じられている。ただ、北京の電力関係者は「中国政府から割り当てられた省エネ目標の達成が危ぶまれる省が、直接的な電力使用制限に乗り出しているようだ」と指摘する。 習指導部はCO2排出量を2030年までに減少に転じさせる目標を掲げており、中国経済の司令塔である国家発展改革委員会は先月中旬、上半期の省エネ目標が達成できていない省を名指しで警告。電力供給制限を打ち出している省の多くがそこに含まれていた。


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