「子どもたちには、自分がいかに恵まれているかを肌で感じてほしい──」
ビル＆メリンダ・ゲイツ財団の共同設立者として知られるメリンダ・フレンチ・ゲイツは、総資産約140億ドル（約2.1兆円）を背景に、３人の子どもたち（ジェニファー、ローリー、フィービー）を“浮世離れ”させないために、独自の教育メソッドを貫いてきた。そのポイントをまとめる。
1. あえて「地元の学校」を選ぶ
離婚後も子どもたちはシアトルの公立学校へ通学。裕福層御用達のプライベートスクールに通わせず、地域のコミュニティと日常的に関わらせることで、「特権意識」を芽生えさせない工夫をしている。転校のストレスを味わうことも、適応力と共感力を育む絶好の機会だという。
「ホームスクールではなく、地元の学校で学ぶことで、子どもたちは“普通の暮らし”を実感できる」（メリンダ）
2. “お小遣い×家事”で「価値観」をインプット
家事の手伝いや庭仕事、ペットの世話などを通じて労働の対価を学び、月々のお小遣いと紐づけ。
- 報酬と労力の関係を理解
- お金の使い方、貯め方を体験
- 家族の一員としての責任感を醸成
子どもの頃に身についた「働くことの価値観」が、将来の社会貢献や職業観にもつながるという。
3. 世界・社会に触れる「チャレンジ体験」
メリンダは、子どもたちをシアトルのホームレス支援活動や地域シェルターへ連れ出し、食糧配給の行列に並ばせてきた。さらに次女フィービーは、中学・高校の夏休みをルワンダで過ごし、現地の家族と生活を共にした。
「世界中を見て回ることで、“自分たちの暮らしが当たり前ではない”と学んだはず」（メリンダ）
こうした経験が、子どもたちの視野を広げ、真の“幸せ”や“自分の役割”を考える契機となる。
4. “ザ・ギビング・プレッジ”で「富の使い道」を学ぶ
ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットらと共に発起した「ザ・ギビング・プレッジ（Giving Pledge）」──富豪が生涯の大半を慈善に寄付する誓約運動──を通じ、親自身が資産の大部分を社会へ還元する姿勢を示す。言葉だけでなく、行動で「富の本質」を子どもたちに伝えている。
5. “シンプルライフ”で得る「本当に必要なもの」の気づき
家のコンセントやブレーカーの位置にこだわらず、あえてポータブル電源生活を体験させるなど、日常の“小さな不便”を敢えて設けることで、
- 何を省けば豊かさを感じられるか
- 本当に必要なサービス・モノは何か
を子ども自身に考えさせる。
メリンダ流 子育てから学ぶこと
- 普通の環境で育てる → 社会に根ざした視点が身につく
- 労働と報酬の関係を体験 → 自立心と責任感を養う
- 社会・世界へのリアルな体験 → 幸運を実感し、他者への思いやりが育まれる
- 富の使い道をオープンに示す → “お金の意味”を深く理解
- あえて不便を取り入れる → ミニマルな視点で本質を見抜く目を養う
「途方もない富」は、ただ与えるだけでなく、子どもの価値観を形成するツールにもなり得る――。
メリンダ・フレンチ・ゲイツの子育てに学び、あなたの家庭でも“地に足がついた幸せ”を育んでみてはいかがだろうか？
