ムーディーズ、米国債の格付けを1段階引き下げ


ムーディーズ・レーティングスは2025年5月16日、アメリカ政府の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」へ1段階引き下げたと発表した。これは事実上、米国債の格下げを意味し、アメリカは主要な格付け会社の中で唯一維持してきた最上位格付けを失うこととなった。

今回の格下げの理由について、ムーディーズはアメリカ政府および連邦議会が、歴代にわたり多額の財政赤字を計上し続けてきた点、また利払い費の増大傾向を根本的に転換する政策で合意できていない点を挙げている。今後も歳出の増加に伴い、財政赤字がさらに拡大すると予想されることも格下げの要因となった。

ムーディーズは「アメリカ経済および財政基盤の強さは認識しているが、現状では財政指標の悪化を補い切れるものではない」として、構造的な財政問題への懸念を明確に示している。

なお、ムーディーズは2023年11月にも、アメリカ政府に対する格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更していた。米国債の格付けを巡っては、S&Pグローバル・レーティングが2011年8月、フィッチ・レーティングスが2023年8月にそれぞれ最上位からの格下げを実施している。

ウォール・ストリート・ジャーナルなど有力紙も、今回の判断によりアメリカは大手格付け会社のあいだで最上位格付けをすべて失うことになると報じている。


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