オゾン層破壊について


大気の構造

 地球の大気の厚さは50kmである。オゾン層は高度20kmを中心に分布している。オゾン層によって200nmから300nm以下の波長の太陽光を吸収している。特に300nm以下の波長の太陽光は生命に有害である。299nm以下の光によってDNAの損傷が発生する。

 世界のオゾン全量は、1985年以降減少傾向である。日本では札幌とつくばにおいては、オゾン量が減少し、紫外線量は増加している。1975年の観測以降、フロンの濃度は増加し、南極のオゾンホールは拡大した。成層圏の塩素全量が減少すると、オゾン全量が回復することがモデルで予想されている。

 フロン(クロロフルオロカーボン : CFC)フロンが化学的に安定であるから半導体の洗浄や家電製品に使われおり、発生源となっていた。フロンは大気の掃除屋として知られるOHラジカルとの反応性が悪く、そのまま成層圏に到達する。紫外線を吸収反応し塩素が発生し、塩素はオゾンを分解する。サイクル反応によって1つの塩素原子が100万分子のオゾンを破壊する。代替フロンは化学式にHがあり、OHラジカルと反応し、成層圏まで届く前に破壊されるなどの工夫がなされている。

 CFC以外にもオゾン層の破壊物質はある。例えば、消化剤に使用されるハロン、工業用の洗浄剤として使用される1,1,1-トリクロロエタンCFCの代替物質として使用されるHCFCや、土壌殺菌剤として使われる臭化メチルなどである。他にも、成層圏を飛行する航空機によるNOxが原因でオゾン層が破壊されるNOxサイクルも存在する。

 法規制により、国内で現在新たに生産される家電製品には、オゾン層破壊物質は含まれていないが、これまで生産された製品の一部には使われており、製品の使用後には回収するなどの取り組みが必要である。

 世界的にも、モントリオール議定書において、オゾン層を破壊するが物質の発生源をなくすことを世界中で取り決めた。日本でも、フロン等オゾン層破壊物質の生産消費が規制せれており、代替フロンが開発され利用されるようになっている。ただし、オゾン層破壊係数は小さくなったが、地球温暖化係数は大きいことは解決していない。温室効果ガスであるため使用した代替フロンの回収も課題になっている。


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